コラム

中国水工環境コラム第77回 核廃棄物の最終処分場

核廃棄物の最終処分場

中国水工環境コラム第77回(2026 年9 月)
執筆者:中国水工(株)環境アドバイザー 大田啓一

 わが国で現在稼働している原子炉は何基あるのでしょうか。原子力委員会によると、今年8月時点で、8つの発電所で合わせて11基だそうです。点検などで停止しているものは全国で22基、廃止措置中が20基あります。建設中の原子炉もありますが、全体として見ると、実際の働き手は意外に少ないものだという気がします。

 そうはいっても、わが国が持っている運転可能な原子炉の数33基は世界で5番目だといいます(日本原子力産業協会2023年版)。一番多いのはアメリカで92基、フランス(56)、中国(53)、ロシア(34)と続きます。オランダなど1基を持つ国を含め、世界には33か国の原子炉保有国があります。これらすべての国にとって避けて通ることのできない難題、それは核廃棄物の最終処分場の確保です。

 この課題をすでにクリアしているのはフィンランドで、最終処分場の建設を終え、試験運転を始めています(原子力発電環境整備機構、2025/3)。また、スウェーデンも処分場を決定していて、今、建設工事にかかっています。両国にやや遅れながらも、処分場を決めたのはフランス、スイス、カナダ、米国です。候補地の精密調査中は中国、ロシア、英国で、日本はその手前の文献調査中の段階にあります。多くの原子炉を持ちながらもこの状態です。

 フィンランドと隣国のスウェーデンは、バルト海に続く細長いボスニア湾で隔てられています。両国ともこの湾に面して建てられた原子力発電所を持っており、最終処分場はその近くに設けられています。フィンランドの処分場には地下450mに花崗岩の岩盤があるそうで、これに穴を掘って、特別容器に入れた核廃棄物を埋め込んでいます(新潟日報、2026/7/27)。

 そのフィンランドといえども、最終処分場の選定には長い年月をかけています(資源エネルギー庁、2020/05)。選定の始まりは1983でした。電力会社は全国の岩盤・地形・人口分布などをまとめ、1985年に「全国マッピング」として公表しました。これを基に102の調査候補地を選び、調査に応じた5自治体でボーリング調査をして3地点に絞りこみました。地元の姿勢と輸送面を考慮して1か所を選んだのは1999年のことでした。選定に16年かかりました。

 フィンランドでの最終処分場の選定は時間こそかかりましたが、成功裏に進みました。その背景として以下の3点が指摘されています。①原子力産業の健全な(不正のない)事業活動、②信頼のおける規制当局の存在、③地域との対話で築かれた信頼関係。アンケートによる住民の意向調査も何回か行われています。

 これらの事柄は最終処分場を選定している日本にも参考になります。科学的知見による候補地の選出、合意に基づく調査、透明性の高い説明などを優先させ、助成金は最後の話としたらいかがでしょう。

使用済み核燃料の地層処分のイメージ

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